[00:00.75]おい、俺の眼を見ろ! [00:03.76]俺たち新選組を甘く見るな、この眼を見ろ。 [00:08.39]この眼はな、熱い血の通った人間の眼。 [00:12.77]そして侍の眼(まなこ)だ。 [00:17.72]骨の髄まで鬼であるおまえには [00:20.67]俺の眼の奥にある焔(ほむら)の意味など、 [00:23.09]わからねえだろう。 [00:25.23]この燃え盛る炎こそ、 [00:28.30]人としての誇り、 [00:30.80]武士としての信義だ。 [00:34.70]たとえ羅刹に変わろうが、 [00:36.47]討ち死にして果てようが [00:38.81]この火は消えずに、 [00:40.20]のちの世まで残り続けるんだ。 [00:43.16]俺たちはな、 [00:44.80]ただ己(おのれ)のために生まれて生きてるんじゃねえ。 [00:47.49]守るべきもののために、 [00:49.31]遠い明日のために [00:51.05]この時代に生まれて此処に居るんだ。 [00:53.70]ふっ、鬼火? [00:55.29]笑わせるんじゃねえ。 [00:56.89]この炎はな、 [00:58.20]たとえ汚濁にまみれても消えねえ信念の炎だ。 [01:02.69]この魂の火が、俺の生きかたを決めた。 [01:06.20]そして、同じ眼を持つ同志たちを引き寄せたんだ。 [01:10.40]俺たちを笑いたきゃ、いくらでも笑うがいい。 [01:13.63]だがな、俺も容赦はしねえ。 [01:28.07]人間には確かに、人間としての弱さがある。 [01:32.12]それは限りある命を持つ者、 [01:35.71]心を持つ者の宿命だろう。 [01:39.10]だが、だからこそ、人には燃え盛る意思がある。 [01:43.70]たとえどんなに短き生であっても、 [01:46.69]俺はこの焔(ほむら)とともに生きる。 [01:49.80]激動の世に生まれ、 [01:51.53]敵であるおまえと出会ったのも宿命って奴なんだろう。 [01:55.32]俺をどうしたい? [01:57.11]俺を斬るか? [01:58.62]それとも斬られるか? [02:02.80]とうに俺には覚悟が出来ている。 [02:05.51]時が来たら、人は散るもんだ。 [02:07.95]命の火は消え去るだろう。 [02:10.92]この、強き志、 [02:13.53]おまえには理解しがたい燃え滾(たぎ)る炎を残してな。 [02:19.74]今夜は新月だ。 [02:21.99]暗黒の空に、一筋、鋭き爪あとのような月。 [02:27.87]こんな夜には、狂気が蠢(うごめ)く。 [02:31.70]だがな、おまえらの思うままにはさせねえ。 [02:35.81]闘いはな、最期まで諦めねえ奴が勝つんだ。 [02:40.66]極限のギリギリ、その最期の瞬間までだ。 [02:44.80]もしも、天が俺たちの見方をしねえとしても、 [02:48.31]向かい風の中を俺たちは斬り込んで行くだろうよ。 [02:53.11]潔いってのは、諦めることじゃねえ。 [02:56.50]覚悟をきっちり決めるってことだ。 [03:03.40]時代さえも、俺たちを裁くことなんてできやしねえ。 [03:07.12]不適に笑っていられるのも今のうちだ。 [03:10.45]おまえなんかに俺たちをただの人間だなどと笑う資格はねえ。 [03:16.90]おまえの足元に、いずれ、めらめらと真っ赤な火が近づいて来て [03:21.77]まわって行くだろう。 [03:23.56]俺が、決着をつけてやる。 [03:28.73]さあ、眼をそらさずに俺の眼を見ろ! [03:33.87]俺たち新選組を甘く見るな、この眼を見ろ。 [03:39.61]この眼はな、熱い血の通った人間の眼。 [03:44.32]泥を飲んでも這い上がり、 [03:46.59]前だけを見据えて生きる侍の眼(まなこ)だ。 [03:50.14]眼をそらすな。俺の眼を、見ろ。