[00:21.75]柔らかく滲んだ墨の色が、水の中へ溶けて行く様に消えてしまいたいと願いながら。 [00:44.27] [00:44.32]残り香を抱いては、もう戻れぬ。 [00:53.83]日々を想い涙しては、淋しさに打ち震える―――。 [01:07.35] [01:07.40]遠く、遠くへと消える。 [01:12.92]認めた手紙は何処へ。 [01:18.37] [01:18.42]宛名のない文字の端でこゝろ殺すのは、愛しているから―――。 [01:41.50] [01:41.55]震える指先で何度も綴れば紅く流れる。 [01:53.80]白景に映える、その色彩だけが温かく―――。 [02:28.12] [02:28.17]色褪せた思ひ出が霞む、陽溜りの中。 [02:38.78]紺碧の彼方へと飛んだ紙飛行機。 [02:49.52] [02:49.57]畳なわる弱い声は鉛の壁に軋んだ。 [03:00.10]昔日に置き去りになった優しい微笑みは、ここでずっと咲いている―――。 [03:16.10] [03:16.15]遠く、遠くへと消える。 [03:21.24]認めた手紙は何処へ。 [03:26.31] [03:26.36]宛名のない文字の端でこゝろ殺すのは、愛しているから―――。 [03:45.12] [03:45.18]あなたの言葉が私の筆を走らせて、思いの丈を綴らせる [03:56.35] [03:56.40]あゝ、青さの中で砕け散る枯れた言の葉。 [04:06.75] [04:06.80]碧落の中へと消えて行く―――。 [04:19.60] [04:19.70]終わり