[00:13.08]舞い落ちる粉雪が [00:19.45]山の背を白く染める [00:25.80]寂れた村の あばら家で [00:31.65]二人、身を寄せ合う 冬の夜 [00:37.96]「出会った日も、雪だった」 [00:44.08]あなたが 微笑みつぶやく [00:50.39]囲炉裏火に火照った顔を [00:56.79]大きな袖の影に隠した [01:04.33]春の訪れを [01:08.41]息吹の歓び さえずる鳥達と 歌う [01:16.08]「綺麗な声だね」と あなたが言った [01:22.51]ただそれが、その言葉が、嬉しくて [01:28.46]「いつか、綺麗な声が出なくなっても [01:35.22]それでも、私を愛してくれますか?」 [01:41.44]「当たり前だよ」って 優しく笑い [01:48.07]そっと 大きな手が頬を撫でた [02:19.82]青葉照る 夏の午後 [02:23.57]あなたが病に倒れた [02:27.39]貧しい夫婦暮らしでは [02:31.53]あなたを治す薬は 買えない [02:35.54]明くる日も 明くる日も [02:39.61]ただ、ひたすらに機を織る [02:43.48]儚き紅葉の葉のように [02:47.45]あなたの命を、散らせはしない [02:52.53]季節は流れて [02:55.31]夏の終わりを告げる鈴虫が リン、と鳴く [02:59.69]「綺麗な指だね」と 傷だらけの手を握る、その手が [03:05.34]あまりにも冷たくて [03:07.68]「いつか綺麗な指がなくなっても [03:12.11]それでも私を愛してくれますか?」 [03:16.03]「当たり前だよ」って 咳き込みながら [03:20.25]痛む指を 大きな手が包んだ [03:25.29]昼も夜も 機を織り続けて [03:28.99]早く早く、薬を買わなければ [03:32.84]もう少し、あと少し、紅葉が散る前に [03:36.78]この指が止まるまで この羽が、尽きるまで [03:41.40]呜呼 落日の风 [03:41.92]无情に朽ちていく実の [03:42.39]灯火を揺らし 落とす [03:58.58]「いつか、私がヒトじゃなくなっても [04:03.05]あなたは、私を愛してくれますか?」 [04:07.42]怖くて真実は告げられぬまま [04:11.60]そっと ひとり、最後の羽を折り [04:16.18]「当たり前だよ」って 僕は笑い [04:20.46]翼を失くした君を抱きしめ、言った [04:24.73]綺麗に羽ばたいた あの日の鶴を [04:28.74]ずっと、今でも覚えているよ [04:32.76]そして 変わらず君を 愛しているよ