海には行かない  この先(さき)の宿(やど)り木には 硝子(がらす)の目玉(めだま)の鳥がいて 往き過ぎる人の顔(かお)を 何も言わずに眺(なが)めてる 海には行かない 夢など見ない 誰かをいたぶることに 喜(よろこ)びを感(かん)じる人たちが フナムシ這(は)う岩(いわ)陰(かげ)から こちらを見ては笑ってる 海には行かない 耳がふさげない 海には行かない 声が出(だ)せない